2018年の映画

2018年の映画は面白くなかった。特に主流になったエンタメ映画は、リベラルなテーマやメッセージを打ち出すことを目的化したものが多いように感じた(1/16追記:内容がリベラルなものに限らず、テーマやメッセージに物語や人物が従属したように感じる映画が多かったという言い方が相応しいかも)そういうものは自分にとって、現代の観客にもっともらしく受けることを狙っているだけのようにしか思えず、映画としての面白さや魅力を感じることができなかった。

 そんな2018年で好きだったのは

ダウンサイズ

『ビリーリンの永遠の一日』

パディントン2

『ザ・プレデター

『恐怖の報酬』(フリードキン)

『GLOW』

『アドベンチャータイム』

『グラビティフォールズ』

映画は5つ。18年に公開された新作は実質『ダウンサイズ』『パディントン2』『ザ・プレデター』だけ。新作でダントツに好きだったのは『ダウンサイズ』。尊敬するアレクサンダー・ペイン監督が、またもやしみじみと胸に迫るユニークで面白い人間ドラマを観せてくれた。2017年に日本ではDVDスルーで公開された『ビリーリン』もしみじみとしたドラマとユニークさが両立していて面白かった。この二つには現代社会に対するテーマやメッセージも込められているけど、それ以前に、安易な共感や感情移入などに頼らず、人間ドラマを描いているのが何よりも素晴らしい。自分はこういう映画が一番好きだ。

パディントン2』は2018年最も素晴らしい王道娯楽映画。映画とはこうあるべき!と思った。『ザ・プレデター』のバカバカしさにも映画とはこうあるべき!と思った。

リバイバル上映されたフリードキンの『恐怖の報酬』は、情け容赦のないアクション映画だったとしか言いようがなく、たとえ現代の映画が束になってかかっても勝てないであろう尋常じゃないパワーに満ちていた。

Netflixドラマの『GLOW』は自分にとっての『ロッキー』枠。つまり観る者を奮い起たせる大事な作品だ。「生活保護クイーン」は今年最も心を掴まれたキャラクターのひとりです。

しかし、2018年に観たあらゆる作品のなかで一番好きだったのは『グラビティフォールズ』と『アドベンチャータイム』。両方とも18年に最終回を迎えたテレビアニメです(2/3訂正:『グラビティフォールズ』は2016年に最終回を迎えていました)
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カートゥーンネットワーク製作の『アドベンチャータイム』は、魔法と科学が入り乱れるぶっ飛んだ世界を舞台にしたナンセンスアニメ。毎回、アホみたいな造形のキャラクターたちと、起承転結など存在しない無秩序な物語が繰り広げられるものの、実はキャラクターたちが背負う重たい過去などが次第に浮かび上がり、回を重ねるごとに物語が奥深くなっていくところがグッと来る。そのせいもあって、世界観のぶっ飛び具合に反してキャラクターには妙に生々しい実在感があるのが新鮮に感じた。そして、毎回ギャグがめっちゃ下らなくて最高。
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対照的に『グラビティフォールズ』はディズニー製作なだけあって、あらゆる面で王道をいくアニメ。連続ドラマ方式に回を重ねるごとに伏線や謎が次々張り巡らされ、世界観や物語が壮大になっていく作劇が真っ当に面白く素晴らしい。一話ごとの完成度も高い。そして、ギャグが毎回めっちゃ冴えている!現行のハイクオリティで壮大な海外ドラマシリーズのような試みを、子供向けアニメでやってのけた意欲的な作品だと思う。

この両作品とも、過激な下ネタや残酷ギャグなどの露悪に走って、観客の的を絞った面白さを狙ったりせず、子供も大人も引き込める普遍的に面白いことをやろうとしているのが素晴らしい。まだ、観進めている最中なので最終回に向かっていくのが楽しみです。

2019年は『クリード2』『ミスターグラス』『ゴジラ2』『スパイダーマン スパイダーバース』『レゴムービー2』『ヴァイス』『アクアマン』、引き続き『アドベンチャータイム』『グラビティフォールズ』が楽しみっす。