スティーブン・セガールについて 前編

出演作品のほぼ全てがひどい俳優。特に近作でのアクションシーンは手をクルクル回すセガール拳をアップの画で2,3カット押さえといて、それ以外はスタント任せにしていることを隠そうともしない体たらく。しかもアップのカットではセガールに照明がきちんと当たってなく、暗闇の中、ぼんやりと存在していることが多くてみづらい。幽霊のようにすら見える。晩年のマーロンブランドのように、だらしない体型を隠したいのか?

それと、これはセガール個人の責任ではないかもしれないが、近作ではポスターのメインになっていたりしながら、主演ではないことも多く、合計出演時間10分にも満たなかったりするのも批判を買っている。

出演作品のひどいアクション俳優は他にもたくさんいる。しかし、出来は悪くても俳優本人は常に懸命にやっているし、その作品毎のチャレンジ精神も見えるものです(それが成功するとは限らないけど)しかし、セガールには志もやる気も感じられない。金のためのやっつけ仕事のようにしか見えない。

撮影現場での態度もひどいらしい。勝手に脚本を書き換え、遅刻早退をし、取り巻きに撮影妨害をさせたりと、まるで輩のよう。恐らく「俺の顔に照明をあてるな」とか「もうこれでいいだろ」とかワガママを言っているのだろう。

やたらと女を侍らせている展開や設定が多いのも、本人の要望によるものと思われる。しかも女といっても、娼婦をそのまま連れてきたのではと疑ってしまうような見た目の女だ。セックスするときは女は脱がせてむせかえるようなキスをして、身体中をねっとりと触りまくるものの、セガールは一切脱がない。観客に対するサービスというより、セガールの公私混同なのではないかと邪推してしまい、観ていてとても気分が悪くなる。念を押すように、女性に対するセクハラとレイプ疑惑metoo運動以前から浮上していることがこれらの展開をより一層キツいものにする。

こう書くと全く良いところがないではないか!レイプ疑惑に関しては最低の犯罪である。セガールはテキサスで副保安官もやっているが、まずお前が逮捕されなければいけないのでは?映画も最低、本人も最低という始末では擁護のしようがない。どうしてそんなやる気もない奴がコンスタントに映画に出続け、それなりの人気を獲得しているのか。それはセガールにしかない唯一無二の魅力があるからだ。だから毎回観たことを後悔し、文句を言いながらも新作が出れば観てしまう。では一体、セガールの魅力とはなにか?そしてそんなセガールにしかない魅力を最大限生かした近年の大問題作『沈黙の粛清』についてはまたの機会に書きます。