『この世に私の居場所なんてない』その他

最近観た映画で自分にとっては苦手なタイプのものが3つ続いたので、感想を書き残しておきます。

『この世に私の居場所なんてない』

このタイトルを聞いた100人中90人がまず思い浮かべるようなイメージを、そのままなんの工夫も捻りもなく画にしてみせてしまったアバンタイトルでずっこけた。その後もそんな調子で、簡単に連想したアイデアをそのまま採用して進んでいったような、中身の薄いスカスカ映画。脚本初稿で撮影してるんじゃないかと思った。

たぶんこの作り手はヴィジランテ映画として、ジェームズ·ガンの『スーパー!』がやりたかったんだと思う。本作を観ると、いかに『スーパー!』がエンタメとしてしっかりしていたか思い知ることになる。そもそも、この「まあ、そうでしょうねぇ」としか思わないタイトルが、物語の最後にはどう変化するのか期待したけど、なんの変化も起きず終わった。

内容はこの程度なのに、サンダンス映画祭で賞がとれて、それなりの人気を獲得できたのはクオリティの高い撮影や編集とセンスよく思える音楽の使い方じゃないか。そういった表面的な誤魔化しが出来てるだけ、かなり有害な映画だと思う。いわゆる「オフビート」というやつなら、物語は緩くても許されるのか。

 

『パターソン』

ジャームッシュは『ストレンジャーザンパラダイス』しか観たことない。物語の無さも苦手だったけど、男にとって都合のいい感じがするヒロインが苦手だった。

本作も苦手だった。特に奥さんが苦手。舞台になる街とそこにいる人間がみな洒落たアーティスト気質の持ち主みたいなのも苦手だった。これも「オフビート」なんだろうか。アダム·ドライバーの顔は面白かった。

 

勝手にふるえてろ

タイトルインから30分くらいは、なかなか期待させた。というのも、これくらい作り手の狙いやビジョンがはっきり伝わる日本のコメディ映画を観れるのが嬉しくて楽しかったから。主人公の松岡茉優はハマリ役だったし美人の同僚も魅力的で、女のキャラクターに関しては、フィクションとしての存在感と現実としての実在感のバランスがみな絶妙で良かった。こういう女キャラクター像は最近の日本映画であまり描かれてない気がする。本作に関しては、やっぱり監督が女っていうのが大きいのか。

だけど、開始30分以降はすでに分かりきったことを引き伸ばして描いてるようにしか思えなくてどーでも良かった。実際、映画としてもテンションはどんどん落ちて、中盤以降はよくある自意識を扱った恋愛映画に落ち着いていった感じがあってつまらなかった。ただ、これくらいが今の映画が扱う物語としては普遍的に映って丁度いいのかもしれない。だから人気を獲得出来てるのかも。

女は良かったけど、男はみんなどーでも良かった。主人公を好きになる同僚の男が登場してからどんどんつまらなく感じていったかも。こいつが本当にどーでも良くて困る。サラリーマンにも見えない(演じてるのはミュージシャンらしい)。登場した段階から主人公がこいつを選ぶに決まっている。最後、これで冷淡に捨てたらビックリするけど。主人公がずっと想いを寄せてた王子にいたってはもう論外!

以上