『ゴジラVSコング』

前作のラストで残り物みたいな見た目の格下怪獣たちがゴジラに頭を下げていた。だから今後のモンスターバースは怪獣軍団を従え、地球を支配するゴジラを中心に展開するんだろうと想像した。コングと戦うことになるのもそれが理由なんだろうと。しかし、その…

『ブルータルジャスティス』

原題『Dragged Across Concrete』はS・クレイグ・ザラー監督過去作の超インディー映画ぽさとは比べ物にならないくらい作りがメジャーだ。製作費もこれまでの2,3倍に増えている。画のルックもこれまでの自主映画に近いようなチープなデジタル撮影とはまるで…

ショッピングモールは期待を誘う

Netflixの作品ラインナップをあてもなく眺めていた時に、アントニオ・バンデラス主演の『セキュリティ』という作品が目についた。あらすじを読むと「元海軍の男が、ショッピングモールの夜間警備員として働くことに。武装した男たちに狙われる少女が逃げ込ん…

『ミスターノーバディ』鬱屈を爆発させるに相応しいボブ・オデンカーク

といっても西部劇のほうではない。原題は『No Boddy』でそのシンプルさがいいから「ミスター」は不要だ(しかも正しい表記はMrなんだけど、そう書くとなんだかマジシャンみたいでよりダサいから自分は『ミスターノーバディ』とする)し、日本版のポスターは…

これからはブログをもっと書いていこう

という気になったのは、ひとつにまず最近パソコンを手に入れたから。三年ほどまえにそれまで使っていたパソコンは売ってしまい、それ以降はスマートフォンで書いていたがまったくもって向いていない。小さい画面の小さいキーボードで書くのはすごく疲れるか…

『ミッチェル家とマシンの反乱』すべてが結論ありきの薄っぺらさ

自分が今まで観てきたあらゆるものの中でもオールタイムベストのひとつ『グラビティフォールズ』の演出、脚本チームにいたマイク·リアンダとジェフ·ロウの長編初監督作品だから期待していた。ビジュアルやルックは『スパイダーバース』に続き、他のCGアニメ…

『マンダロリアン』

久しぶりに面白いスターウォーズが観れて幸せでごんした。シーズン1の感想。 チャプター1 超西部劇。マンドーが薄汚れたストームトルーパーたちとメキシカンスタンドオフをかますところで痺れた。銃を撃ちまくるIGがめちゃカッコいい。物語的に最もグッとき…

『ランボー ラストブラッド』

派手な娯楽アクション映画であったはずの一作目が、肝心のクライマックスで行ったのはランボーに慟哭させることだった。そのままランボーは逮捕され終わる。しかし物語として何かが解決したとは思えない。実際、ランボーのなかではなにも解決しなかったから…

『ワイルドスピード スーパーコンボ』

このシリーズの不良の家族愛的な原理に基づく世界観や物語には興味なかったけど、途中からドゥエイン·ジョンソンとジェイソン·ステイサムが加わり、非人間的な要素が増えてきたから見続けることができた。そんな自分にとってシリーズで一番好きなのは『スカ…

『この世に私の居場所なんてない』その他

最近観た映画で自分にとっては苦手なタイプのものが3つ続いたので、感想を書き残しておきます。 『この世に私の居場所なんてない』 このタイトルを聞いた100人中90人がまず思い浮かべるようなイメージを、そのままなんの工夫も捻りもなく画にしてみせてしま…

『ゴジラ キングオブモンスターズ』

ヤバい!昨年あたりからどんどんつまらなくなってるエンタメ映画の真打ちが来てしまった。何もかもが安易で陳腐、観客をバカにしたようなところもあって腹も立った。最近のシリーズもの映画を観ていると、大手チェーン店の新商品のコマーシャルを二時間観て…

『アベンジャーズ エンドゲーム』普通の映画ではない

ネタバレしてます。 サノスがどれだけぶっ殺し甲斐のある悪になれるか期待した。前作のサノスには同情や理解の余地が生まれていたから悪ではなかった。あれは敵だ。自分にとって敵は殺したくならないからグッと来ない(最近の映画でいえば『ブラックパンサー…

『キャプテンマーベル』

女ヒーロー映画で、監督と脚本家も女。流行りのフェミニズム映画の側面もあるかもしれないけど、それだけに終始せずエンタメ映画として普遍的だったのが何よりも良かった。その普遍性を担っていたのは主人公ブリー・ラーソンの明快かつ抜けの良い魅力だった。…

『バイス』抗えない悪の魅力

映画で魅力的に映るのは主人公ではなく悪役だ。悪は徹底的に冷徹で容赦ないほどカッコよく輝く。しかし最近の映画は悪役がどうにも弱くて不満を抱いていました。 『バイス』はそんな不満を吹き飛ばすカッコいい悪が描かれていた。観ていてグッと来るのは、権…

『グリーンブック』

胸がすくようないい映画。胸だけでなく腹も空く映画。飯が美味そうな映画は良い。70年代の日本映画は飯が美味そうなのが多かった。特に東映の映画は凄かった。『仁義なき戦い』シリーズのどれかに登場した犬鍋、『脱獄広島殺人囚』のラストで道端に落ちてる…

スティーブン・セガールについて 前編

出演作品のほぼ全てがひどい俳優。特に近作でのアクションシーンは手をクルクル回すセガール拳をアップの画で2,3カット押さえといて、それ以外はスタント任せにしていることを隠そうともしない体たらく。しかもアップのカットではセガールに照明がきちんと当…

『クリード 炎の友情』

本作最大の物語的ハードルは「なぜアドニスがドラゴ親子からの挑戦を受けるのか?」にある。アドニスは前作で、父親であるアポロの呪縛を解消し、自分が何者なのかを見事に証明した。それが果たされている以上、アドニスには戦う必要がない。もし、アポロの…

2018年の映画

2018年の映画は面白くなかった。特に主流になったエンタメ映画は、リベラルなテーマやメッセージを打ち出すことを目的化したものが多いように感じた(1/16追記:内容がリベラルなものに限らず、テーマやメッセージに物語や人物が従属したように感じる映画が多…

『ボヘミアン・ラプソディ』

いわゆる「ショウビズもの」の定型をなぞっただけのような物語は凡庸に感じた。フレディー・マーキュリーという、まさにフィクションのようにドラマチックな人生を送った人物を扱っておきながら、映画として凡庸なのは勿体なくないか。もしくは、言い方は悪い…

『裸の銃を持つ男』シリーズ

数年前、話題になった『アデル』という恋愛映画をこの前観ていた。物語中盤、主人公の浮気が恋人にばれ、別れ話を切り出される展開がある。お互い眼には涙を浮かべ激しくぶつかり、やがて暴力的な掴み合いに発展する。演じている女優二人の激しくて重たい演…

『ザ・プレデター』幼稚で真摯な小学生

脚本が重要だ。シェーン・ブラックとフレッド・デッカーが共同で書いている。このコンビはかつてデッカーが監督、ブラックが共同脚本で『ドラキュリアン』という名作を生み出した。当時、監督として名を上げていたデッカーだったが、脚本家としてのブラックは…

『アントマン&ワスプ』

本作に限らず最近のマーベル映画全般、会話シーンがとにかくつまらないと思う。ただ向かい合い喋っている人物をバストサイズくらいで切り取って、工夫の無い編集で繋いでいるだけに見える。マニュアルでもあるかのように決まりきった見せ方。本作で言えば、…

アトロクについて

番組放送時に撮影された写真を見ていると、毎回、肝心のゲストや特集に登場するアイテムよりも、アナウンサーの写真の方が多いって何なんですかね。アナウンサーの写真どうでもいいっす。そういうところからも、この番組が本来大事にしないといけないことを…

『インクレディブルファミリー』

登場する悪役の目的や背景が興味深く描かれるだけに、物語上の説得力にまるで欠けていることに引っ掛かってしまった。 悪役の目的というのは、ずばりヒーローの根絶。それ自体は普通だが、その理屈が「人々はヒーローの存在に頼り過ぎるがあまり、受動的にな…

『ミッション・イン・ポッシブル フォールアウト』

物語は混乱しているうえに雑極まりない。だから、いくらアクションの物量とトム・クルーズ本人のスタントが過酷そうでも、映画としての効果をまるで発揮しない。 たとえば、イーサンがロンドンの街を全速力で走り抜けるシーン。もう一度書くけど「トム・クルー…

『ブリグズビーベア』

この映画でも起きたように、撮影現場での事故や警察沙汰はよくあることだ。特に自主映画なら尚更で、そういう事例は頻繁に聞くし、実際に目にもしてきた。知り合いは俯瞰ショットを撮影したいがために、無断で他人の家の屋根に登り、泥棒と間違えられ、署ま…

『ディープライジング』シリーズ

5、6年前から超低予算映画界隈を中心に盛り上がりを見せたサメ映画ブームが、ついにジェイソン・ステイサムが巨大サメと戦う超大作『MEG』にまで行き着いた。それくらいサメには人を惹き付けるパワーがあるのか、もしくは超低予算映画から倣わなければならな…

『ゲティ家の身代金』

本作最大の見せ場である耳の切り取りシーンは、実際の直接描写自体より前振りが一番残酷な感じがして良かった。突然部屋に入ってくる屈強な男たち、人質になぜか強い酒を飲ませようとし出し、やがて外科医と思われる不気味な男が...それらの前振りによって「…

『ビリー・リンの永遠の1日』

イラクに出兵した少年ビリー・リンは、戦地で敵に囲まれる上官を単身助け出しているところがたまたま撮影され、話題になったことから祖国で英雄として讃えられる。そんな彼と部隊の仲間たちがアメリカに一時帰国し、アメフト最大のイベントであるスーパーボ…

『ランペイジ巨獣大乱闘』怪獣映画とドゥエイン・ジョンソン

怪獣映画において人間は邪魔な存在だ。それは、どこよりも先進的な怪獣映画を大量に生み出した、かつての日本産怪獣映画で頻繁に起きた「それまで物語の中心にいたはずの主人公たちが、クライマックスでは怪獣の大暴れをただ傍観するだけの存在になってしま…